①
九度山を出て「高野下駅」にやって来ました。
う~む、なんとも言えぬ風格のある、ステキな駅ではありませんか。
ホームと駅舎の間には踏切があって、さらに駅舎から階段を下りて道路に出るようになってます。
駅舎のすぐ横はちょっとした崖になっていて、その下を不動谷川が流れております。
②
プラットホームは上り下り兼用の島型ホーム。
駅舎の支柱はレールを利用したものなんやそうで、レールを作った外国の企業名が支柱に
刻印されてました。
大正時代に作られた駅舎だそうで、なんか走行する電車は時間をタイムスリップしてるんじゃ
ないかしらという錯覚さえ覚えます。
乗車した九度山駅からは上り坂になっていて、この先、極楽橋まで急カーブ急勾配の連続。
通常の車両ではカーブを曲がりきれんから、橋本~極楽橋を走る車両は一両が17mと通常
の車両よりずいぶん短くなっているんやそうです。
③
ホームの待合室も年代を感じさせるものです。
エアコンの室外機とミラーがなければ、ずっと昔に撮った写真だと言っても通用するかも。
まったく、のどかなもんです。
④
極楽橋方面からの電車がやって来ました。
4両編成です。
各停、急行はもちろん、特急『こうや』も、『天空』も全て4両編成です。
なぜなら、南海高野線のプラットホームはことごとく4両編成用に造られていて
5両編成以上だと、プラットホームの長さからはみだしてしまうからです。
⑤
改札口を出ると・・・
う~ん、やはり時代を感じさせます。
ポスターが貼ってなかったら、大正時代のようです。
⑥
「な、な、なんじゃぁぁぁ~」
駅の階段を降りようとして、変な気分になります。
明らかに傾いてる。
階段が傾いてるのか、屋根が傾いてるのか・・・
カメラを構えて一枚パシャ!
「別にそんなん撮らんでもええやん。」と思われるかも知れませんが
後で高野下駅は傾いていると言っても
「さっき飲んだビールが効いていて、あんさん自身が傾いてたんと違うのん。」と
信用してもらえないかも知れないし…
よって証拠写真を撮っておこうという算段です。
⑦
駅の対面の不動谷川を挟んだ道路沿いに商店や民家が並んでます。
ここは過去何度も車で通ってます。
私の相方は温泉のある和歌山県龍神村(現・田辺市)出身で、帰省のときはたいてい
この道を通ってました。
阪和自動車道の岸和田~泉南の開通、湯浅御坊道路の開通によって、最近はこの道
を走行することもとんとなくなりました。
高野山を越えてアップダウンのワインディングロードを通って行くよりも、距離は長くても
海沿いの自動車道を通って行く方が道幅もあって時間的にも早いものですから。
⑧
民家の軒先でワンコが寝ております。
近づくとうす眼を開けてチラッとこちらを見ましたが
「なんや、おっさんか。フンっ!」てな顔をして
また寝てしまいました。
ただでさえ暑いのに、路面はもっと暑いと思うのですが、平気なんですかね~。
⑨
駅の方まで引き返してくるとボディを赤く塗られた
2300系といわれる電車が停車していました。
サイドにはしゃくなげのイラストが描かれていましたが
他の花が描かれた車両もあるようです。
もっと近くで撮ろうと歩きだしたのですが
無情にも電車は発車してしまいました。
⑩
せっかくなので、駅からこちらのほうに走って来る普通電車を
トンネルに入る手前で撮りました。
南海電鉄には悲しい物語があります。
南海電鉄は関西の大手私鉄のひとつで、大阪側の終着駅は難波です。
その昔、大阪の北の玄関口である梅田まで営業路線を延ばす計画があったそうですが
難波から梅田間は地下鉄御堂筋線と重なるため大阪市から許可がでなかったそうです。
それならばと、地下鉄御堂筋線の西側を通して梅田までの路線変更の計画を考えましたが
既に大阪市交通局の地下鉄四つ橋線の計画区域になっていて
やはり大阪市から却下されたそうです。
残るは御堂筋線の東側ですが、阪急に先を越されてしまい
堺筋線として大阪市交通局と阪急の供用区間となりました。
昨年は近鉄と阪神が繋がり奈良から神戸まで乗り換えなしで行けるようになりました。
近鉄、阪急、阪神、京阪といずれも大阪市内に地下路線がありますが
関西の大手私鉄で唯一南海だけが地上路線のみとなりました。
また南海はプロ野球球団、「南海ホークス」を持っていましたが
常時、3~5万人の観客動員のある阪神タイガースとちがい
低迷期は観客の入りも悪く、何千人の観客数ということもしばしばでした。
さらにタイガースの本拠地、甲子園に行くには
御近所さんを除けば、まず間違いなく阪神電車に乗っていきます。
梅田~甲子園が確か260円。往復で520円。
もちろん神戸方面からも来ますけど、仮に一人当たり往復平均500円として
5万人入れば2,500万円。
月に12試合すれば一月3億円。
もし、大阪球場に同じだけの観客が来たとしても
大阪のど真ん中の超便利な場所にある球場へは
南海、近鉄、JRの他に地下鉄御堂筋線、四つ橋線、千日前線が利用でき
甲子園に行くには阪神電車に乗らなければならないという条件とは雲泥の差です。
もし、2リーグ分裂の際に、ジャイアンツと同じリーグにホークスが所属していたら
南海球団の売却もなかったかも知れないなぁなどと、ふと思ったりします。
⑪
周辺を散歩して、また高野下駅へと戻ってまいりました。
やはり、どう見ても傾いてますよね。
「どうかそのままで、ずっといつまでも斜めのままでいてね。」
と、やさしく声をかけて駅を後にしたのでした。