「陶器の舟に乗ってどこかに行こうとしているのですか」
「うん。キミを乗せてってあげようと思ってね。」
「ワタシはそんな小さなミルクピッチャーには乗れないよ。」
「乗るのはキミの身体じゃなく、キミのココロ。」
「それでも小さすぎるんじゃない。」
「考えてもみなよ。キミの身体には肉や骨や内臓が詰まってるんだよ。ココロというものがキミの身体の中にあるのだとすれば、その隙間にしかないじゃない。集めたところでこれくらいの大きさがあれば十分さ。」
「ふうん。そんなもんなのかなぁ。」
「でも、汚れていたら、すぐ沈んじゃうよ。」
「えっ、それは怖いな。」
「大丈夫。ちょっとしたことでカッカしたりせず、いろんなことに『ありがとう』と感謝すればだんだんと汚れもなくなってくるから。」
「ふうん。」
「でも、一回だけじゃダメだよ。毎日、毎日繰り返さなきゃ。」