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#1326 脱輪

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PENTAX DA70mm F2.4 Limited


公園の手摺の影を眺めていて、ふと教習所に通っていた頃のF教官のことを思い出した。
S字カーブは大好きだったのだけど
どうもクランクが苦手だった。
苦手意識があったからということもあるのだろうけど
教習所内のクランクを走行中、脱輪したことがある。
そのとき横に乗っていたF教官が言った言葉が
「君は上手いっ!」だった。
茶化されてると思いつつ「脱輪したのに何が上手いんです?」と問い返した。
F教官曰く「脱輪しても、すぐ停車するところが上手い。」
どうも変わった教官だった。
脱輪したら普通は停まるやろ。

晴れて運転免許を取得したものの、自分の車を所有することがなかった。
自分の車を買ったのは40歳になってからだ。
大阪に住んでいて、最寄の駅まで5分という近さだったので
車がないことに何ら不便も感じてなかった。
必要な時はオヤジの車を借りればすむことだったし。
所帯を持ってからも、そう車に乗ることも無く
相方の実家に帰省する時にオヤジの車を借りる程度だった。

相方の実家は和歌山の山の中にあって
今でこそ高速が開通して、センターラインのある道がほとんどになったけど
当時は高速道路も途中までしか開通していなくて
たいていは大阪から高野山を越えて
奥深い山の尾根道を走る龍神高野スカイラインを通って行くのが通常だった。
龍神温泉を越えるとそこからは対向ギリギリの狭い道を走らねばならず
実家に到着した時は結構ヘトヘトになってた。

あるとき例によって高野山越えで実家に向かっていたところ
あと1キロ半ほどで到着というときに
気の緩みもあったのだろう
道路横の溝に脱輪したことがあった。
もちろん相方はF教官のように「あなたは上手い」などと言う筈もなく
冷ややかな眼差しでワタクシを見ていたのは言うまでもない。

実家に到着すると長女が「おとうちゃん、運転してて溝にはまってん。」
と義父母に説明する始末。
あれほど「このことは、黙っとけ」と言ったのに。
言ってはダメというのは、言えといってるのと同じことのようだ。

昨年末、実家に帰った際に、その道を走ってみたが、やはり恐かった。
もう一度、同じところで溝にはまってたりしたら、
いい笑いものになるところであった。
by echoes06 | 2010-02-17 00:45

写真・イラスト・よもやま話


by おすぎ
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