奈良や京都に限らず、旧い町並みの残っているところは各地にあるようですが
このころの民家は間口が狭く奥行きの長い家が数多く存在していたようです。
いわゆる『うなぎの寝床』ですね。
間口は広いほうが使いやすいと思うのですが、間口が狭い理由のひとつが
多くの人が表通りに面したところに家を持てるようにということがあったのやそうですが
もうひとつの理由が税金対策だったようです。
今の税制は昭和25年のシャウプ勧告が基本になっているようですが
昔は門戸の広さによる税というものがあったんやそうでして
広い入口、大きな玄関のお家はそれだけ納税額も大きかったんやそうです。
門、入口を小さくして節税対策をしたのでしょうなぁ。
だから当時は間口が狭く奥行きの長いお家がたくさんあったのでしょうね。
格子のある家はいつ頃からあるのかよくわかりませんが
室町時代の後半(1550年頃)には、格子のある家がたくさん描かれた絵が残されていることから
この頃には、格子のある家はたくさんあったのだと思われます。
現代のガラス窓のような機密性もなく、掃除も大変だってでしょうが
格子があるだけで外から内部は見えにくく
また屋内から外はよく見えるようでして
何かマジックミラーのようです。
確かに内部からは外がよく見えます。
暗い映画館内でスクリーンを見ているようです。
外の音もよく聞こえるので、子供の遊ぶ声も家の中からよく聞こえたのだと思います。
また、今のようにコンビニやスーパーもない時代でしょうから
遮音されてしまうと物売りの声も聞こえなかったかも知れませんね。
『格子の家』は狭い間口から奥に向かって三つの部屋が縦に連なっていて
間に中庭があり、その向こうは離れ・蔵と縦一列に並んでおります。
まあ、そういう建て方だから
内部は必然的に暗く
窓の取れる箇所には、進んで窓を作ったように思います。
それにしてもこの窓、上下に動かして開閉するようで
へたに窓から首を出して、ひょっとヒモが切れたりしたら、えらいことになりそうです。
館内にはダウンライトがいくつも吊り下げられてます。
屋内の窓は通気や明り採りの役目をしていたのでしょうが
やはり、それだけでは室内はかなり薄暗いでしょうね。
二階は一階に比べると採光条件はいくぶん良くなりますが
「めっちゃ明るいやん。」という感じではありません。
ま、明るすぎるより、このくらいの明るさの方が雰囲気があっていいのですが
ここで本を読んだりするのはちょっと辛そうです。
離れは結構明るく開放的です。
一方は中庭に面していて
反対側は蔵に続く裏庭が面しているので
採光面からは離れが一番条件がいいようです。
『へっついさん』ですね。
『へっつい』というのは関西の方言でしょうが、カマドのことです。
ワタクシが子供の頃の本家には、まだへっついは健在でした。
何か懐かしい思いです。