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丹後半島一人旅 その4・豪商「稲葉本家」と「あったり、なかったり」

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久美浜の町にはいたるところで、玄関の前に竹に納められたお雛様が見受けられる。
厄除けとか夫婦円満とかいういわれがあるのかなあと推察できるけど、詳しいことはわからない。
それよりも、どこかに食堂がないものかという方が今は重要なんですわ。
そんなことを考えながら尚も町の中を散策していると…






 
 
 
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なにやらずいぶん開放的な大きな屋敷が…
門の外から一枚撮らせてもらって、中に入ってみようかと考えた。
「いや待てよ、門の内側は他人の敷地。不法侵入にならないかしら?」
けれども、この開放感。
どうぞご自由にお入りくださいとワシに語りかけてるやおまへんか。
少しくらいなら構わんよな…誘惑に勝てず門をくぐると
 

「ピンポ~ン!」
「ひっ!」
チャイムの音は軽やかなんやけど、不法侵入にならないかという思いがあったせいで超ビックリ!
心臓から口が…もといっ、口から心臓が飛び出すんちゃうかというほどの驚きよう。
 

「えらいこっちゃ、急いで逃げねば。
いや、それではまるでピンポンダッシュ。小学生の悪戯と五十歩百歩。
というより、ここの家の人が出てきて『ドロボー!』などと叫ばれた日にゃ、そりゃもう大変。」

 
ワシ、他人様のおうちに不法侵入して物を盗むってな事は決してせえへん。
ご婦人のハートを盗むことはあってもね(笑)
  

上品そうなご婦人が中から「こちらは裏口ですから、反対側に回って表の方からお入り下さいな。」と仰る。
見ず知らずのワシを家の中に招き入れるなどという、そんなオイシイ…じゃなくて、おかしな話があるやろうか?


 
 
 




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言われるままに表に回ってみると随分と大きな敷地なのがわかる。
入口には『豪商・稲葉本家』と書かれた大看板の横に拝観時間10~17時と書かれてある。
あ、な~んや。ここって拝観可能な歴史的建築物なのね。
でも、料金の明示がない。
上品そうなご婦人の声につられて中に入ってみると、鬼の形相をした大男が
「やい、身ぐるみ置いていけっ!」なんてことにならないかしら?
 
「ええい、ままよっ!」意を決して内部に入ると鬼の形相をした大男もいず、上品そうなご婦人が
「どうぞ、ごゆっくり見学していって下さいな。」
  
「あのう、拝観料はおいくらなんでしょうか。」
「無料ですよ。」
「へっ、無料?建物の維持管理は国か自治体などの公的機関の予算で賄っているのですか?」
「いえ、以前は町が管理していましたが、現在は第三セクター方式で維持管理しています。」
「それじゃあ、余計に無料だと維持管理は大変なんじゃないですか?」
「そうですね。今のところは補助金もおりるので何とか大丈夫ですが、よろしければ志納いただければありがたいです。」

 
ありゃりゃ、こういう展開になってしまったら志納しないわけにはいかない。
なんか誘導尋問にひっかかったような…





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屋内は随分と立派で、回船問屋をするようになって稲葉家は大きな財を成したようであります。
ここにも各部屋にお雛様が飾られている。
いわれを聞こうと思いながら結局聞けずにわからずじまい。
館内を見終えるとお土産の販売所があって、
あ、しもた。志納やめて、お土産を買えばよかったと思ってももう遅い。
 
「お土産を買いますから、さっきの志納のお金返してもらえます。」
などというのは、ワシのプライドが許さんので、諦めることに。
 
出口付近に休憩処が併設されているのを見て
「ここで、食事をいただくことはできますか?」
「できますが、すべて予約制になっておりまして。申し訳ございません。」

そ、そんなぁ。食事処を目の前にしてるのに食事できないやなんて…
「おなかが空いていらっしゃるのなら、ここを出て左に行ったら川がありまして、その手前にうどん屋さんがありますから。うどんでよろしければそこで食べれますよ。」
「えっ、それって『あったり なかったり』っていううどん屋さんですか?」
「そうですよ。よくご存じですねえ。」

あった、あったやんか。
出石で皿そば我慢してまで、食べようと思ってたうどん屋さん。
久美浜を歩き回って中々見つけられんかったうどん屋さんが、こんな形で見つかるとは…
ああ、神様、仏様、豪商稲葉様~
 
 


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教えてもらった道を行ってみると
「あ、あ、あった~!」
余りの感動に声も出ず、胸から熱いものが込み上げ、目からは溢れんばかりの感涙が…
というほどオーバーなことは無いのですが、
もう見つけられないかもと思っていただけに、喜びもひとしお。

目印になるような看板もないし、見つけにくいことは確かです。
提灯はいくつか欠落してるし、普通は『営業中』って札をかけると思うのに、かかっている札は『やっとります』やて。
第一、お店の名前が『うどん あったり、なかったり』
何かふざけているように見えるけど、そうでもありません。

ここのお店はうどん玉をどこかから仕入れているわけではなく、ここのお店でうどん粉を練って打ってはる手打ちうどんの店です。
うどん粉を練るときに水と塩を使うのやけど、季節やそのときの状況によって塩の量を変えて練ってるのやそうで、ましてや高度な製麺機を使っるわけでもなく、一度に大量の麺を打たないので、時にはお客さんが来てもうどん玉を切らしてしまうこともある。

あったり、なかったりというのは、うどんが無いというわけではなく、うどん玉がきれてしまったので、うどん粉を練ってうどん玉を作るのに時間がかかるから、40分くらいは待ってもらわんなんけど、ええか? という意味なんやそうです。

「うどん、できるか~?」
「今、あったり、なかったりや」
これがそのまま店名になってる(笑)。

讃岐うどんのように踏んで踏んで作られたコシの強いうどんでは無いけれど、つるっとして食べやすいうどんです。ダシも美味しい。
季節を変えてやって来たら、また塩加減のちがったうどんを堪能することができそうやねえ。
 
あ、そういえばこのお店の表にも竹に入った紙製雛人形が置かれてありました。


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by echoes06 | 2008-04-12 00:39

写真・イラスト・よもやま話


by おすぎ
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