「そこのアナタ。『雨が降り出しそうとか言いながら、全然雨中の写真ないやんか。』って思うてるでしょ。」
「いいえ、そんなこと思うてしません。」
「『ホンマは雨が降ったけど、濡れんのんイヤやから写真撮れへんかったんとちゃうのん』って思ってるでしょ。」
「いえいえ、そんなこと思うてしません。」
「いいや、思うてる。思うてる。ワシかて、雨の中で写真撮るのんかなわんなぁて思うたんやから、アンタも思うたに決まってる。それが証拠に今、顔面がピクピクッと動いた。」
「そんなもん、動きますかいな。」
伊根の町並みに感動して、ワシの頬にはあつい涙が…
あつい… あれ、あつくない。冷たいやん。 なんで?
ポツリ、ポツリ。
とうとう雨が降り出してきました。
えっ、雨が降ってるようには見えんやて?
海面をよう見てみなはれ。
雨降ってんのが、わかりまっしゃろ!
えっ、わからんやて?
難儀な奴っちゃなぁ。
ほな、これでどやっ!
レンズに水滴ついて、曇ってるのがわかりまっしゃろ!!
まだ、わからん?
ホンマに困った奴っちゃなぁ。
家の瓦を見てみ。
雨で濡れてまっしゃろ!
えっ、屋根の上から水を撒いたんとちゃうかやて?
そんなにワシ信用ないかねえ???