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#864 不思議な感覚


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写真を一枚とってふと思った。
一年ほど前にもこの場所から同じような写真を撮ったなあと。
ひとつには長屋の前に空間があるから長屋全体を撮りやすいということもあるのかも知れないけれど、何か不思議な感じを受ける。
はて、なんで不思議な感じがするんやろう?
そう思ったけれど、すぐにそんなことは忘れてしまった。





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泉佐野の旧い町並みの中に、拝観可能な『新川家』住宅があったので入ってみた。
しばらくして、さっきと同じような不思議な感じがした。
ちょうど団体バスでやってきた観光客で内部は賑わっていたので少し離れて内部を見学することに。



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時期的なこともあってか、家屋内部にはたくさんのお雛様が飾られていて、付近の人たちがいらなくなったお雛様を置いてもらえないかというところから、たくさんのお雛様が集まってきたのだそうだ。
和歌山・加太にある淡島神社に持っていってくことも考えられるのだけど、供養の後、海に流されるよりも、飾ってもらえるのならと、新川家に持ち込まれたのだそうだ。

余談ながら「お内裏様の横のぼんぼり倒れてまっせ~。」



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中庭に出てみると、さっきまで感じていた不思議感がない。
何がどうってことはない、中庭なのだ。


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そのうちに団体客は場バスの時間があるからといって出て行った。
新川家住宅を管理する人がこっちに向かって言ってる。
「皆さんもう出られましたよ。」
「ああ、私はあの団体客じゃありませんので。」
「あ、そうでしたか。」


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そう言いながら、ふと天井を見上げてアッと思った。
「階段がありますが二階に上がってもいいですか?」
「もちろん、かまいませんよ。」
二階は床に板が貼ってあって天井は梁がむき出しになっている。
部屋の北側と南側に二つの梁が通っているのだけれど、その長さが違うのである。
つまり部屋は四角形なのだけど、長方形ではない。
その辺のところを聞いてみると、道の境界に沿って建てられているのでそうなるらしい。
屋根瓦も変則四角形の建物に合わせて、一部には菱形の瓦が使われているとのこと。
「大工さんの技術すごいですね。」
「ははは、最近ではそんな家はあまりみられないけれど、この辺りにはそんな家がいくつか残ってますよ。
それに、昔はそんな家がこの辺りにはたくさんあったので、この辺りの大工は変則四角形の家を建てることには慣れていたのでしょうね。」

そうだったのだ。
最初の長屋の不思議感も、ゆるくカーブした道に沿って建てられることが原因だったのだ。
あ~、スッキリした。
今では建ぺい率の問題があるから、敷地ギリギリ一杯まで家屋を建てることはできないのだろうけれど、これらの家が建てられた当時は、そういった規制がおそらくなかったのだろう。
上空から見たら、この長屋は、切り分けられたバウムクーヘンのように見えるのではないだろうか。

by echoes06 | 2009-03-06 17:51

写真・イラスト・よもやま話


by おすぎ
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